東シナ海の囲碁 2010 9 18
菅首相は、今頃になって、
円高対策とデフレ対策が重要であると言い出しているかもしれませんが、
これは、遅くとも8月中には、着手しておかなければならなかった問題です。
現時点の問題は、それよりも、東シナ海の問題です。
民主党の多くの政治家が、党代表選挙に夢中になっている間に、
いや、閣僚ですら、その職責を投げ打って党代表選挙に夢中になっている間に、
東シナ海では、重大な問題が起きたはずです。
残念ながら、危機管理能力が乏しいと言わざるを得ません。
東シナ海は、超大国化する中国から見れば、
自分たちの内海のように思えるでしょう。
沖縄を含む南西諸島が作るラインまでが、
つまり鹿児島から台湾を結ぶ線までが、自分たちの海だと思っているでしょう。
だから、尖閣諸島の問題も、ガス田開発の問題も、
「自分たちの海なのに、何が悪いのか」と思うのは、自然でしょう。
やがて、中国は、尖閣諸島を実効支配するようになるかもしれません。
最終的には、沖縄を含む南西諸島が、中国の自治州になってしまうかもしれません。
千島列島がロシア領であるように、
南西諸島は中国領であっても、おかしくないと考える可能性もあるでしょう。
中国から見れば、南西諸島は、中国の太平洋進出を抑える「柵」のようなものでしょう。
いや、南西諸島は、中国を東シナ海に閉じ込めておく「檻」のようなものかもしれません。
南西諸島が、中国の自治州になってしまえば、「柵」から「前線基地」になります。
どうして、こうなってしまうのか。
それは、東シナ海や南西諸島における軍事バランスが崩れてきているからです。
近年、この地域において、米軍の勢力は退潮気味であり、
日本の政治家も、この地域における軍事バランスは無関心だからです。
このように書いても、菅政権は、左寄りの政治家が多いので、
ピンと来ないかもしれません。
政界には、碁を打つ政治家が多いと聞きます。
要するに、東シナ海で碁を打っているようなものです。
いや、東シナ海、南西諸島、太平洋が碁盤のようなものです。
沖縄と中国 2010 3 27
最近、日本国内では、
沖縄の海兵隊基地の問題で大騒ぎとなっています。
この問題に関しては、一見、無関心を装っている中国も、
本当は、手に汗握るような思いで見ているでしょう。
もし、将来、気候変動や自然災害がなかったら、
中国は、経済的にも、軍事的にも世界最強の国となるでしょう。
そこで、もし、あなたが中国の軍事指導者だったら、どう思うでしょうか。
まず、机の上に、世界地図を広げてみる。
千島列島や樺太がロシア領であるように、
台湾や南西諸島が中国領であっても不思議ではないと思うでしょう。
(ここでは、南西諸島とは、西表島から種子島までと定義します)
ただし、これは妄想に終わるでしょう。
現在のところ、日本は、アメリカに次ぐ経済大国で、
沖縄には、世界最強のアメリカ軍が駐留しているからです。
しかし、将来、日本経済が衰退し、
アメリカ軍が沖縄から撤退した時、
このような妄想は、現実のものと変わるでしょう。
アメリカが発展する時、
アメリカの国力は、西へ拡大してきたのです。
東海岸から西海岸へ、
西海岸に達すると、次は、ハワイ。
戦後は、ハワイから沖縄まで拡大したのです。
中国が発展する時は、東へ向かうでしょう。
東シナ海、東太平洋、ハワイ。
中国が東へ拡大する時、南西諸島は、ちょうどよい橋頭堡となるでしょう。
半島や諸島(列島)は、海の勢力にとっても、陸の勢力にとっても、
必ず、橋頭堡として使われることになるのです。
そういうわけで、半島や諸島(列島)に住む人たちは、
賢く生きなければならないのです。
つまり、常に国際情勢に敏感である必要があるのです。
誤解のないように書きますが、
以上の文章は、あくまでも軍事的・地政学的観点から書いたものです。
現在、日本と中国が目指しているところは、
経済発展や経済的な繁栄です。